時事逓信屋 PAGE 12

まず、バラの花はなぜ青い花が咲かないのか?
以下は研究文献を参考
| 1 | バラはもともとデルフィニジン系色素を使わない系統だった |
| 2 | バラが青色を必要とするような“特定の送粉者”を持たなかった |
| 3 | F3'5'H (花の青色発現に必須となる酵素をコードする遺伝子)を持つ植物はむしろ例外的で、バラの系統では自然に導入されなかった |
| 4 | バラの色素経路は“赤?ピンク”方向に特化していた |
| 5 | 人工的に F3'5'H を導入すると青色化できる=自然界では欠如していた証拠 |
F3'5'H が担う役割
ペラルゴニジン(橙色)
シアニジン(赤~紫)
デルフィニジン(紫~青)
つまり、バラは青色を必要とする生態的圧力が弱かったため、F3'5'H を保持・獲得する方向に進化しなかった
バラは青色を作る遺伝子を保持・獲得する必要がなく、進化の中で自然に欠如したまま現在に至った。
| 完全な青バラを作る条件 | ||
| 要素 | バラの現状 | 青色に必要な条件 |
| 色素 | デルフィニジンは作れる(遺伝子導入で) | 作れるだけでは不十分 |
| pH | 酸性 | アルカリ性 |
| 金属イオン | 少ない | Mg2+/Fe3+/Al3+が必要 |
| 補助色素 | 種類が少ない | フラボン類が必要 |
| 酵素群 | DFR が非適合 | 全酵素の最適化 |
| 細胞構造 | 光散乱構造が弱い | 青色を反射する構造 |
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以上のように、青いバラを自然界で咲かせるのは不可能に近い。また、遺伝子を組み換えても完全な青色は非常に難しいのだ。
そこで、注目したいのは畑の隅や道端で普通に咲いているツユクサという雑草がある。この花は東アジア原産で花期は初夏から秋の朝に鮮やかに青色の花を咲かせる。
そのツユクサは、植物色素化学の最高峰とされ、植物界でもほぼ唯一の 「完全な青」 と呼ばれるのだ。
以下の表はその構造である
そこで、注目したいのは畑の隅や道端で普通に咲いているツユクサという雑草がある。この花は東アジア原産で花期は初夏から秋の朝に鮮やかに青色の花を咲かせる。
そのツユクサは、植物色素化学の最高峰とされ、植物界でもほぼ唯一の 「完全な青」 と呼ばれるのだ。
以下の表はその構造である
| 完全な青のツユクサ | ||
| 要素 | ツユクサの特徴 | 青への貢献 |
| 色素 | デルフィニジン | 青の基礎 |
| 補助色素 | フラボン大量生産 | 色素の安定化・青方向シフト |
| 金属イオン | Mg2+を高濃度で保持 | コンメリニン形成 |
| pH | アルカリ性液胞 | 青色発色の必須条件 |
| 細胞構造 | 光散乱構造 | 青色の増幅 |
※コンメリニン形成とは
Mg2+ がアントシアニンとフラボンを架橋し、6:6:2 の巨大な超分子金属錯体(コンメリニン)を自己組織化的に形成し、その結果として安定した鮮やかな青色が発現する現象。
以上のようにツユクサは、青色を作るために必要なすべての条件を“完璧に揃えた”植物界の奇跡であり、ツユクサの青は「色素」ではなく「巨大分子建築」である。
ちなみに、ツユクサと同じようにバラがこれを再現するためには以下の通り。
1.金属イオン輸送系の再設計
2.フラボン経路の強化
3.pH 調節機構の再構築
4.細胞壁の光学構造の再設計
5.コンメリニン形成タンパク質の導入
これらを植物の細胞システム全体を作り替えて、植物色素化学・代謝工学・細胞生物学・光学構造生物学・合成生物学などを突破して
代謝経路の再設計、細胞構造の再設計、イオン輸送の再設計、光学特性の再設計などを成功させて、自然な青いバラを咲かせる事ができる。
つまり、ツユクサは完璧な青を咲かせるノーベル賞以上級の植物である。従って、雑草と呼ぶのはツユクサにとって非常に可哀そうである。
彼こそが”雑草”ではなく、植物界の花のプリンスであることを改めて認識して、その観点から観察するとよいかも知れない。


